税理士法人時代にきつかったこと

筆者のこと

皆さんこんにちは、税理士法人で働きながら公認会計士試験に合格したsuiです。

この記事では僕の税理士法人時代に「税理士事務所は(独立するにしても)キツイな…」と思ったことを挙げていきます。

将来に税理士事務所を開業しようと思っている人や、公認会計士試験に働きながら合格するために税理士法人への就職を検討している人は是非読んでみて下さい。

筆者は1社目に上場企業で働いたのちに、税理士事務所に転職した経験があります…!

仕事相手がキツイ

税理士法人の顧客は基本的に中小企業の社長となります。

この社長への応対、税理士がやるかと思いきや普通に無資格のスタッフが行う場合が結構あります。その為、税理士法人で働いたからと言って、数字だけ相手をしていればいいというわけではありません

この中小企業の社長とのやり取りが中々にタフです。

経費になるかギリギリの交際費の費用計上を要求してくることや、税金の計算に必要な資料を全く出してこない補助金申請のための資料の一部を急ピッチで作成するようにいきなり依頼してくる等、

事務所がどこまでのサービスを行うか方針にもよりますが本当に色々あります。

また、社長は自身のお金で事業を回しています。自分が納得できないことには徹底的に対抗してきます不思議なのですが稼いでいる社長ほど税理士事務所の話を素直に聞きません…

このような感じで、税理士事務所の顧客は中小企業の社長であり、場合によっては社長とタイマンでコミュニケーションを取らなければいけないのがキツイ点です。

ミスるとキツイ

どのような仕事でもミスをするとなかなかのキツさなのですが、税理士事務所の場合ミスはお金の損害に直結します

納税の案内が遅れるパターン
今まで大企業で働いていた人には想像しずらいかもしれませんが、キャッシュ(手元の現金)が3ヶ月分未満しかない企業などざらです。

ここで、税金の納税の案内(数か月後には○○円の税金の納付がありますよ的なやつ)が遅れたりすると

そんな急に言われても税金払えないんだけど…?」と社長にキレられることもあります。なんならしりぬぐいとして、納税を数か月待ってもらう段取りを税務署と取るなりして、自分でケツを吹かなければなりません。

それでも、納税に送れると延滞税がかかったりして「この利息分そっちが払ってよ」と、税理士事務所側にダイレクトに損害が発生してしまうこともあります。


納税金額をミスるパターン
確定申告で各種控除をし忘れていたり消費税のタックスプランニングを間違えたりと色々あります。これらもすべてミスをした瞬間に顧客に損害が発生するので普通にキレられます。

顧客が多く納税してしまっている場合はもちろんですが、納税額を低く計算してしまっていると税務署から電話がかかってきたりもします。

連絡が最初から税理士事務所に来ればいいのですが、社長の方に税務署から直接問い合わせが言った場合は、キレ気味の社長からこちらに連絡が来るので胃がねじ切れそうになります。


経理処理をミスるパターン
中小企業では経理担当者を設置できずに、税理士事務所に領収書を送って「あとよろしく!」というパターンがあります。

いわゆる記帳代行というやつなのですが、ここで間違えて領収書を打ち忘れていたり、BS科目で処理するべきものをPL科目で処理してしまったりするとこれまた顧客の納税額に影響が出てきます。

また、中小企業では数か月ごとに月次の試算表を銀行に提出していたりするので、処理を忘れていた領収書が出てきたりして、さかのぼって数か月前の処理をしようとすると銀行員につっこまれ、社長にも少し責められます。

価格競争がキツイ(経営面)

従来から税理士事務所が担ってきた、記帳代行+決算+税務申告書の作成は競争が激化しすぎて利益幅がとても少ないです。

普通の中小企業(5人前後)だといいところ月3万円くらい、決算時は3ヶ月分くらいもらうので、3万円×15で45万円くらいが1社あたりの年間売上です。

月30万円もらっている社員の時給が1350円(社保込み)なので、11時間の作業で終わらせられれば粗利益で1万5千円です。ここから社長の給料・家賃・プリンター台とか諸々の固定費が出ていきます

一人あたりに10件の顧客を付けて見ましょう。月に15万円の粗利です。事務所の家賃20万円+社長の役員報酬30万円(あまりに夢が無さすぎですが…)だとしても月の固定費は50万円ですので、

社員が4人、顧問契約数40件、すべての作業の処理をつつがなく終わらせて粗利益60万円、月の純利益10万円の世界です。

このような状況だと何が起こるでしょうか…?

そう、薄利多売という戦略を採用し、とにかく顧問先を増やすしかありません。そして、実際には月に3万円も取れる会社ばかりではありません。月に1万5千円~2万円の契約もざらです。

その割に、上記の通り、税額の計算という業務である以上ミスが許されません。

つまり、売上金額に対する責任が釣り合っていないのでは…?と僕自身は感じました。

労働条件がキツイ

先ほど説明したとおり、法人税・消費税をメインとした税理士事務所の戦略は基本的に薄利多売です

そして利益を出すためには売上を増やすほかに経費を削るというアプローチがあります。悲しいことに最も効果が期待できるのは人件費の削減です。

人件費の削減≒時給の削減です。ここで効果的な方法は下記の3つになります。

基本給を下げる
固定残業制を採用する
年間休日数を減らし稼働時間を増やす

以上を採用することにより、
基本給20万円弱、固定残業代5万円(30時間分~40時間分)、土曜日が無い週がある(年間休日110日台)

という雇用条件が完成します。

これは主観的には、労働時間が長いのに給料はそこまででもない(残業代が付かない為)という印象になるので、税理士法人への就職を考えている人は、待遇欄に上記の記載がないか気にしてみて下さい。

まとめ

①取引相手が中小企業の社長であるため色々キツイ
②ミスったときのリスクと、契約金額のつり合いが採れていないのでは…?と感じる時がある
③薄利多売のビジネスモデルであるため従業員の労働環境が良くない場合がある