【簿記1級取得のメリット】転職にも活かせる

初学者向け

こんにちは、税理士法人で働きながら公認会計士試験に合格したsuiです。


こんな人をイメージしてこの記事を作成しました

①簿記1級はどれだけ難しいのか?

②簿記1級に合格したら転職で有利なのか?(取得して報われるの…?)

③簿記1級に合格したんだけど、これってすごいよね?

筆者も日商簿記1級を持っています…!点数は80点台でした

※この記事では簿記1級の求人情報の参考として、下記の転職サイトのリンクを貼っています。


簿記1級の難易度

ざっくりした所感

難しいです

レベル感で言うと、簿記1級に合格出来れば公認会計士試験の短答式試験科目、財務諸表論は合格ラインに入れると思います。

最も難しく感じたのは商業簿記でした。損益計算書や試算表の数値等を自分で集計させる問題が出題され、計算ミス・集計漏れ・知らない論点があると連鎖して不正解となるという特徴から問題自体が難しいのではなく、解答が難しい科目です。

業簿記・原価計算の範囲でいかにミスなく正解するかがポイントだと感じました。

また、時間制限はそこまでタイトだとは感じませんでした。全科目とも15分くらい時間が余った記憶があります。間に合わないと感じる場合は知識が不足しているか問題演習が足りていない可能性があります。



客観的なデータ
僕の受けた回(157回)だと全国の合格率は7.9%でした。僕の地区は100名程度の受験者がいて合格者は6名だったので6%程度でした。

簿記1級を受ける人は最低でも簿記2級を取得している人であり、税理士を目指していたり会計士を目指していたりと、母集団のレベルが非常に高いです。この母集団で合格率1割を切っているのは何大抵ではありません。

また、簿記1級合格時の財務会計論の累計勉強時間は1250時間程度でした

簿記1級の勉強で身につくこと(メリット)

【商業簿記・会計学に関する知識】
簿記1級で学習する内容は2級までの内容と一線を画します。覚える仕訳の数が膨大ということもなりながら、理論というかたちで会計の根本原則を学習するためです。

理論を勉強するということは、会計処理を行う上での判断基準を手に入れることです。

これにより
いわゆる「専門家」としてのスキルを磨くことが可能になります
→専門家として、基準・概念・法律を根拠とした自らの意見の形成が可能になります。会計処理に関して会計士と議論も十分可能になってくる領域です。

また、定型的な会計処理はほとんど全て学習するため単純な知識だけでもトップレベルの人材になります。正直僕は公認会計士試験に2回落ちたときは簿記1級も合格できていませんでした。公認会計士試験に合格した時は簿記1級も合格しましたが、難易度はほとんど同レベルだと感じました

【工業簿記・原価計算に関する知識】
商業簿記と同様に「原価計算基準」という根本的な概念に踏み込んでいきます。特に原価計算基準は昭和37年(1962年)から全く変わっていません。この傾向から一度身に着ければ今後長期間に渡って自分の助けになってくれます。

この原価計算基準を理解できれば、上場企業の製造原価の処理は理論上未経験でも可能となるはずです。

また、一部の経理部門がしっかりしている超大手企業を除いて、原価計算の知識を持っている人は意外にも希少です。簿記の知識のみなら税理士科目で簿記論と財務諸表論を持っている人がいますが、高度な原価計算ともなると簿記1級か公認会計士くらいでしか勉強しません。

高度な原価計算は財務諸表の作成でも重要ですが、「この製品って粗利ちゃんとでてるの?」というところを本当に理解して説明することが出来る。というスキルが身につく点も非常に大事です

例えばラーメンの原価を「麵とスープのみ」と考えるのか「麺・スープ・人件費・家賃」を含めて考えるのかという感じです。簿記1級に合格するころにはどちらを「原価」ととらえているのか自分の言葉で説明が出来るようになります。

転職・就職で有利なのか?

有利です



簿記1級が威力を発揮するのは経理経験アリの場合でした。下記検証結果です。


第一検証】簿記1級さえあれば未経験でも同度な会計に関する求人があるのか?

MS-Japan“>マイナビエージェントで募集要件に「簿記1級を保有」でかつ「上場企業」で「経理経験が必須ではない」と極限まで縛りを加えた状態で求人数を検索してみました。

“>MS-Japan…0件

“>マイナビエージェント…2件

結論、簿記1級が必要とされながらも経理としての経験が必要ない求人はごく僅かでした…この結果については簿記1級を必須条件とする求人は高度な職務内容のものが多くみられ、「未経験の簿記1級取得者を想定していない」傾向にあると感じました。

恐ろしいほど求人がありませんでした


第二検証】未経験でもOKで簿記の資格があれば歓迎の求人数について

上場企業」で「経理経験が必須ではない」+「簿記1級or2級なら尚良し」で調べてみました。

これは「未経験者なら簿記2級くらいまで知識ある人を採用したいけど、簿記1級を持っていてくれるといいなぁ…」という思いで出しているであろう求人数なら結構あるんじゃないかという仮説です。

“>マイナビエージェント…30件程度

MS-Japan…4件

未経験での募集に簿記1級を期待している採用はマイナビの2件以外ありませんでした未経験としての採用なら簿記2級で十分説があります

第三検証】経験ありで簿記1級を指定している求人ってどのくらいあるんだろう?


上記の検証を踏まえて、最大限簿記1級が威力を発揮するであろう「上場企業」で「経理経験あり」+「簿記1級必須」で調べてみました。

マイナビエージェント…31件、年収平均652万円・中央値650万円。

MS-Japan…185件、年収平均591万円・中央値500万円

このタイプの求人がボリュームゾーンでした。連結決算や有価証券報告書の作成など高度な業務内容が盛りだくさんでした

まとめ

①難易度は高い、筆者の合格時は1250時間勉強してました
②簿記1級は根本原則を勉強するため、会計処理を自ら判断することが可能となる
③簿記1級が最も転職で威力を発揮するのは経理経験がある場合

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