【社会人向け】公認会計士試験5月→8月をもぎ取るために

上手く分けられない記事たち

みなさんこんにちは、公認会計士短答式試験→論文式試験に税理士法人で働きながら合格したsuiです。
実は僕は5月→8月で合格しています。(2021年は強制

働きながらの受験で5月→8月で合格にたどり着けた人はなかなかいないと思うので、社会人受験生かつ、短答式に5月で合格した人を対象とした超ニッチな記事を書きたいと思います。

この記事では、
どの科目から勉強していったほうがいいの?
科目合格は狙っていったほうがいいの?
論文対策は働きながらどうやってやっていけばいい?

こんな疑問に答えていきます。

短答合格後、どんな勉強をしていくべきか

短答式試験を合格した方、おめでとうございます。あまりにも辛く長い道だった短答式試験を突破し、勉強のモチベーションはかつてないほど高まっていると思います。

論文合格に向けて2点事実の棚卸を行います

8月の論文までに自分に残された時間
結論、500hです。月170時間前提なので週40h~以上は必須となります。残り3か月間は冗談抜きで仕事と睡眠以外は勉強してください。

この3か月間は日本一勉強しましょう



短答式試験に関連する知識が劣化する前に論文に挑める。5月の短答式試験は競争が熾烈です。5月短答に合格した時点で単純な計算力と、用語の暗記という点だけは既に全受験生と肩を並べています


以上の2点を踏まえて

150hを租税法
100hを経営学
80hを企業法
70hを会計学(財務と管理)
50hを監査論


残り50hで調整

という時間配分で勉強していくことをお勧めします。これは下記の理由からです。

租税法・経営学で偏差値50をとる最低ライン
→短答合格後初めて租税法・経営学を勉強する場合、最低でも上記の時間は確保しないと足切りor猛烈に足を引っ張る偏差値となってしまいます。残り3か月で、租税法・経営学で勝とうとすることは無謀ですので、いかに偏差値50前後で凌ぐかを考えてください。
租税法は投入した勉強時間に対しての再現性がとても高い科目です。12月合格と過年度合格の人はそれなりのレベルで仕上げてきます、相対評価の試験である以上みんながやりこんでくる科目はリスクが高いです。予想以上に論文直前まで偏差値が上がらない科目です。経営学に関しては、みんな勉強しません。結果割と早く偏差値50には持っていけると思います。

企業法は足切りの可能性がある
→企業法は大問が2つ、論点としても4つ程度しか出題されないガチャ要素がかなり強い科目です。みんなが知っていて自分だけが知らない論点が一つでも出てきたら一気に偏差値に5~くらいは差が付きます。最低限答練で出題された論点を暗記し、時間の許す限り問題集の論点を押さえていく必要があります。

会計学で正直計算を練習する余裕はない
会計学は理論だけ毎日1時間勉強する程度が限界です。計算に関しては答練で出た問題を軽く復習するくらいで大丈夫です。


答練に関して
5月短答まで一切論文の勉強をしていない場合、すべての答練を解き切ることはあきらめて下さい。5月の短答合格時点で手元には論文式用の答練が積みあがっていると思います。下記にその時解き方を解説します。

財務会計論(会計学午後)
計算問題は解かなくていいです。自信ない部分は短答教材でカバーできます。理論問題だけ完全に暗記します。

管理会計論(会計学午前)
→同様に計算のメンテナンスをしたい場合は短答式試験用の教材でさっとやりましょう。理論部分のみ覚えましょう。特に管理会計論は計算結果と合わせての回答が必要になることが多いので、理論と計算結果(問題の流れ)を照らし合わせながらやれるとベストです。

企業法
→論点を書き出して、模範解答の論点を全てなぞれているかチェックしてください。解答の全文を自分で書こうとするのは圧倒的時間の無駄です。一つの問題のサイクルは①問題を読む→②答案の構成を考える→③解答を見て加点の部分をすべて拾えているのかのチェック。がおすすめです。1論点につき20分程度でできますので、勉強時間が限られていても答練の論点はすべて暗記できます。

監査論
事例問題に関しては「売上の過大計上」・「棚卸資産の回収可能性」などの、問題パターンだけ知っておけばいいので、解答を覚えたり、問題を全部解く必要はないです。皆が覚えてくるであろう典型的な論証部分だけ暗記しましょう。

租税法
配布されたすべての答練の内容を計算・理論問わず覚えてください。感覚は短答式試験の財務会計論の勉強に近いです。内容を捨てていい部分は一つもありません。問題はバラバラにして、各計算論点で一つにまとめることがおすすめです。これで各論点内でパターンが異なる問題を解くことが出来ます。また、知っていれば正解できる簡単な論点を見分けることも出来ます。

経営学
→特に無し。答練を7割くらいの仕上がりに持っていければ本番何とかなります。教科書や映像授業の必要性は薄いと感じました。

全ての答練を仕上げるのは働きながらの3か月では不可能です。取捨選択を意識してください。

科目合格を狙うかどうか問題について

結論科目合格は狙いに行くものではない。と考えます。

これは下記の理由からです。

合格のチャンスが減る
→論文式試験は3回までしか受けられません。その貴重な1回をわざわざ捨てに行くのはナンセンスすぎます。

科目合格はそもそも難しい+非効率
→皆さんがこれから受ける論文式試験は勉強界の全国大会です。科目合格するためには偏差値56以上が必要になりますが、これには4000人中750番目以内に入る必要があります。シンプルに困難です。また皆さんもご存じの通り、高得点を目指せば目指すほど必要な勉強時間は増えていきます。論文式試験という高レベルな母集団において、偏差値52に到達するまでの累計勉強時間と、偏差値56に到達するまでの累計勉強時間には1・5倍くらい差があります。この時間で他の科目を偏差値52に上げたほうがいいと思います。

科目合格が最終合格に結びつくとは思えない。
皆さんは短答式試験で、「君の得意科目、特別に免除にしてあげるよ」と言われて受けるでしょうか。また、得意科目の点数を抜いた科目で短答式試験の合格ボーダー超えていたでしょうか。

論文式試験でも同様です。得意科目は全体の点数を底上げするために作るもので、勉強科目を減らすために行うのではありません。仮に科目合格をしたとしても、残り2回の試験を自分の不得意な科目のみで受けることになります。論文式試験は、科目数が多い・問題量が多い・試験時間が長い。という要素から運の要素が少なく、勉強を頑張った人が報われやすい試験となっています。これを削る効果をもたらす科目合格は自ら進んで運の要素を高める行為だと思います。

働きながらの勉強方法について

まず第一にマインドセットとして、3ヶ月で論文式試験の租税法・経営学・企業法・監査論を理解して迎えようという気持ちを捨ててください。そんな贅沢は社会人受験生に許されていません。3か月で行うことは、合格するためだけの勉強です。もはや授業の消化や教科書を流し読みして概要をつかむために割く時間はありません

結論、答練のクオリティを可能な限り上げるしかありません

3か月だと答練ですらすべての問題を仕上げきれないと思いますので、上述した通り、「勉強する価値がある問題なのかの取捨選択」を自分で行ってください。特に論文式の答練では、現場対応力を鍛えるための問題が出ることがあります。このタイプの問題は3か月の間に取り組む意味は無いと思っています。

5→8で不合格になる原因の大部分はインプット不足です。とにかく論文式で必要とされる最低限の知識、論証のテンプレートを頭に叩き込んでください。

さいごに

残された時間は約500h
危険度は租税法=企業法>その他
むやみに答練を解いていても間に合わない


過年度と12月合格で、勢いを維持したまま本番を迎えるのは500名くらいだと思います。この層には基本的に勝てませんが、それよりも下の層は結構流動的です。5月→8月は勉強の危機感が人生で1番を迎え、勢いと集中力が凄まじいです。論文式試験の3日間だけ上から1300番に入ればいいのです。試験本番まで実力を上げていきましょう。